ICTの心配

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しかし,紙,鉛筆,消しゴムを使って学習することと,それらを使わないことにはどのような意味での「隔たり」があるのだろうか。

 単純に言って,手(指)の繊細な感覚が失われるだけでなく,脳の発達にも悪い影響が出るのではないかと直観的に感じる。

 ICT機器を使い,超短期的な「意欲の高まり」で喜んでいる程度で,教育への効果を期待するのは愚かなことである。

 

上記のように,ICTを活用することへの心配の声はあって当然のことです。

実際,電子書籍よりも紙の本で読んだ方が記憶に残りやすい,という研究結果もあります。

www.lifehacker.jp

「物語の進行に合わせて紙をめくっていくという作業が、一種の感覚的な補助となります。すなわち、触覚が、視覚をサポートするのです」とマンゲン氏。「おそらくこのことが、読書の進捗度合いと、物語の進行度合いを、よりはっきりと印象付けるのでしょう」

 上記のこれらというのは,「学習の定着のためのICT活用」です。

大学の研究などで先行研究をインターネット上で調べ,CINIIなどでpdfを閲覧することがあると思います。

しかし,pdfで読まずに印刷したほうがわかりやすかったりメモを取りやすかったり,という利点があります。

 

そして,そもそも考えてみると,私たちが学習のためにパソコンやスマホを使っているのでしょうか。

みなさんはパソコンでノートを取ったことがありますか。あっても辞めたのがほとんどではないでしょうか。

 

パソコンやスマホタブレットで記録を残すのはあくまでHDDやSDD,その他メモリです。私たちの脳ではありません。

 

一般的にICTを使うときは「調べるとき」「作成するとき」「表現するとき」の3通りでしょう。これらは学習の補助とはなりますが,学習のメインにはなりません。

ICT危機の活用を批判されている方は「学習のメイン」として活用することに対する批判だと思います。

みなさんはポスターを作るときに模造紙を使いますか。各種学会のポスターセッションで模造紙に手書きで発表する方は多くいますか。きっと少ないと思います。それは手描きよりもパソコンで作ったほうが「便利」だからです。

 

今後,様々な仕事で人は「考える」という活動を行わなくなるのは間違いないでしょう。しかし,「考える」活動をパソコンなどが行う代わりにそれを「活用する」技術が必要になります。

それを身につけていく教育を行っていかなければ,ありとあらゆる業界において日本は追従するしかなくなっていくでしょう。

 

ICT教育,というのは学習のメインにはおそらくなりえません。

結局は「道具」です。上手な道具の使い方が身につくような学習活動を行って欲しいです。